なぜサウナがADHDの脳を整えるのか?
サウナに行ったことのある方は「整う」という言葉を聞いたことがあると思います。
サウナによる「整う」という体験は、サウナ・水風呂・外気浴を繰り返すことで訪れる、脳や心身が深くリラックスし頭が冴え渡る状態を指します。
実はこの状態、常に脳が働き続けて疲れやすいADHDの特性と驚くほど相性が良いのです。
ではなぜサウナがADHDの脳を整えるのでしょうか。単なる「気持ちいい」の裏側にある、ADHDの特性に突き刺さる4つの要因を詳しく見ていきましょう。
「強制シャットダウン」で脳のノイズを消す
一つ目の要因として、「強制シャットダウン」で脳のノイズを消すことです。
ADHDの脳の中では、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という回路が過剰に働いていると言われています。
これは、脳が意識的な作業をしていない時に動く回路で、いわば車でいう、「アイドリング状態」のようなものです。
この常に働き続ける思考回路を物理的に止めてくれるのが、サウナの極限状態です。
サウナ室の90℃を超える熱気、そして水風呂の冷たさのような「生命の危機」に近い刺激を受けることになります。
そうなると、脳は雑念を捨てて、「今、この瞬間を生き延びること」へ全リソースを強制的に集中させるのです。
その結果、散らかりすぎて仕方なかった脳のメモリがクリーンになり、本来の平穏を取り戻した瞬間、「静寂」になるのです。
サウナは、自分では押すことのできない脳の「リセットボタン」を押してくれる場所なのです。
脳内物質の最適化
二つ目の要因としては、脳内物質の最適化です。
ADHDの方が日常では感じにくい、「達成感」や「覚醒感」を、サウナの温度差によって引き出されます。
サウナと水風呂の交代浴をすることで、脳内報酬系が刺激されて注意や集中などの実行機能を司る「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌されます。
ドーパミンが分泌されることでサウナ後は、「スッキリしてやる気がでる」という状態になりやすくなるのです。
また覚醒を司る物質であるノルアドレナリンが調整されます。
ノルアドレナリンが出ることで、ぼーっとしていた脳がシャキッとし、集中力の土台が整います。
そうして仕事の作業などにいつもより更に没頭して取り組むことができるようになるのです。
「感覚遮断」による脳の休息
三つ目の要因としては、「感覚遮断」による脳の休息です。
ADHDの特性を持つ方は、光・音・匂いなどの刺激に敏感(感覚過敏)なことが多いです。
常に感覚過敏になり、頭がパンクしてしまうため脳を休める必要があります。
サウナ室のほとんどは適度に暗く、テレビがないサウナでは音も静かです。
場所によりますが、現在ではサウナでは私語厳禁のところもあるようです。
現在では、よりスマホに触る時間や、多くの仕事を同時にこなす頻度が明らかに増えています。
サウナに入ることで、スマホやマルチタスクから物理的に切り離される「デジタルデトックス」の状態になるのです。
そうすることで自分自身の今の時間に没入することができます。自分に集中できるようになることで、オーバーヒートした脳をクールダウンさせます。
自律神経の「強制チューニング」
最後の要因として、自律神経の「強制チューニング」があります。
ADHDの方は、オン・オフの切り替えが苦手で、夜になっても交感神経が優位なままの状態である過覚醒になりがちであります。
ただ、サウナに入ることで改善されるのです。まずサウナに入り交感神経を刺激します。
その後、水風呂に入り更に交感神経を刺激します。そして外気浴を行うことで、副交感神経が急上昇します。
このプロセスを踏むことで自律神経の振れ幅を大きく動かし、オン・オフの切り替えを強制させます。
結果として、外気浴中に訪れる「ととのう」状態が、深いリラックス効果を生み出して、夜に良質な睡眠をとることができるようになるのです。
夜に深い睡眠をとれるようになることで、次の日には疲れが多くとれてその日の充実感を更に向上させてくれるようになるのです。